コード

共有ビルの四階は銀行の営業時間だが、空中演技スタジオは違う。十一時、廊下の灯りは半分になり、明るい扉は彼女のものだけ。松脂がキーパッドに粉雪のように残る。午後ヒェウォンから聞いた番号を押すと、錠が開く。

廊下はゴムマットの匂いがする。足裏が張っては剥がれる。その下に、扉が開くまで正体の分からない音。シルクがシルクを滑る長い静けさだ。

スタジオは空だった。

天井からエアリアルシルクが二本、薔薇色と黒で揺れている。レンタルは真夜中まで。私は夜の生徒で、授業ではない。ヒェウォンは残ってと言い、私はエレベーターの中で言い訳を練習しながら残った。夫はヨガツアー中。彼女は今朝、扉が閉まっているか確かめるような声で二度言った。

シルクが動く。

見上げる。彼女はマットから三メートル上、結び目に座っている。片脚を通し、シルクは生えたように体へ巻かれている。短いユニタード。作業灯で濡れた肩から背へ光が落ちる。裂けてテープを巻いた掌は、別の女性が指輪をつけるようにシルクへ置かれている。

「来たのね」と彼女は見下ろさずに言った。
「残れと言ったから」
「ええ」彼女は頭を反らし、髪と長い喉を見せる。「今夜のルールは一つ。落下だけ見て。触らないで。私が落ちる時だけ――」

「時」。もしではない。

結び目

彼女は登る。努力というより、勝ち続ける議論のようだ。巻きは目を閉じてもほどける。上がりながら話す息にはわずかな乱れ。最初に聞こえるのは講師、次にもう一つの声だ。

「結び目は勝手に開く。それが仕掛け。巻いて、信じれば、必要な間だけ支える」シルクが光の中で彼女を回す。「一秒も長くはない」
「それから?」
「何かが受け止めるまで落ちる」
「シルクが?」

彼女は逆さで微笑み、顔に血が上る。耳には自分の脈だけが満ちる。

彼女は頭上で巻きを固定する。スタジオは照明の唸りだけになる。つま先が伸び、手が開く。

落ちる。

結び目は約束どおり開く。シルクが跳ね返りで受け、伸び、放す。彼女は残った空気を水のように落ち、腿を開きながら降り、私は何も決める前に動いていた。

つま先が鎖骨をかすめる。

着地ではない。脈の真上へ、片足の腹が触れた。松脂が顔と口に広がり、鋭く甘い。閉じないよう鍛えた手が腰から一寸の場所で震える。

シルクが最後まで彼女を運ぶ。膝を曲げて柔らかく着地し、肩で荒く息をする。ユニタードの肩紐が鎖骨から落ち、二人ともそこから目を逸らさない。薔薇色のシルクが背後で疲れて揺れる。

「動いたわね」
「君が落ちた」
「見てと言った」
「君は僕に向かって落ちた」

彼女は二歩で距離を詰める。汗の冷たさが天気のように近く、声を聞く前に言葉を感じる。

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「受け止めて」と彼女は言い、つま先立ちになる。

唇には松脂が残り、呼吸のたびに小さく粘る。その不完全さが、何よりきれいなものより私をほどく。登った後の匂い、松脂と温かな布と、掴まり続けた努力。舌がゆっくり入り、巻きを確かめるように動く。裂けて粗い掌が胸を滑り、服の内側へ入る。

下でトラックがギアを変える。鏡の時計は11時47分。彼女は私を後ろへ歩かせ、マットが肩に触れる。薔薇色のシルクが二人を包み、観客が去るのを待っていたようだ。

「レンタルは真夜中まで」と彼女が口元で囁く。
「なら十三分ある」
「うん」彼女の歯が下唇を優しく捕える。「夫のツアーは金曜に終わる」

彼女の腕がスイッチを押し、灯りが消える。暗闇が最後にくれたのは、金曜じゅう疼くことになる決意の声だった。

0時01分、灯りが半分の強さで戻る。彼女は三歩先、肩紐を直し、鎖骨には指紋のような松脂の金粉。裸足で床を歩き、キーパッドでは体で数字を隠しながらコードを変える。廊下は空き、エレベーターはゆっくり来る。

「レンタルは終わり」と彼女は言う。そして出ていかない私を見て続ける。「明日は暗い。金曜には夫が帰る」

背後で薔薇色のシルクがまだ揺れている。鎖骨には足先の形が残り、通りへ出ると携帯が掌で震えた。まだ必要な理由をもらっていないコードと、短い一行。もう一度、落下を見て。

落下は見なかった。受け止めたのだ。そして真夜中は、今から二十三時間後になる。