バレルは恋愛ノベルが忘れがちなことを知っている。不倫はキスで始まらない。残る口実から始まる。暗い熟成庫、天井まで積んだ樽、十分快のはずの検査、栓から手を離さないジェイ。バレルはその遅延を一人称で味わわせる。

肝は小道具だ。彼女が置かない一つの物が、いつ置くのかという問いになる。以下の作品も、出口一つ、口実一つ、どちらも選ばない女性一人という規則を共有する。

ラストトラック

博物館が暗くなっても、彼女は展示タブレットを持つ。最後の韓国語案内録音という口実で、あなたとブースに残る。

青いチョーク

ウンジェは最後のレーンの灯りの下でキューにチョークを塗り直す。階段の灯りは点いたまま。今出れば夜はラストオーダーで終わる。

ラストレーン

火曜リーグが終わり、管理人はレーンを片付ける。彼女は合わない貸靴を締め、もう一ゲームを求める。ピンの音だけが暗がりでカウントダウンになる。

ラストコース

閉店後もハヌルの柳刃は止まらない。「これが最後」が最後にならない。のれんの向こうは片付け、こちら側は別のものだ。

譜面を守って

カーテンコール後の空の劇場で、ナギョンは譜面を守ってほしいと頼む。楽器を取りに行く階段は五秒先だが、二人とも見ない。

オルガン

客は六時に帰ったのに、シアは試香紙を差し出し続ける。実験は深夜には香水の話ではなくなった。保存して換気扇を止めれば何もなかったことになる。

六本とバレルに共通するのは、彼女が置かない物だ。栓、タブレット、チョーク、刃、エンドピン、試香紙。小道具は変わっても遅延は変わらない。不倫ビジュアルノベルを探すなら、青いチョークの物語へ。